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「一番大切な日」になぜスト? 仏アップルストア店員が明かした苦境

米アップルの新型スマートフォン「iPhone(アイフォーン)15」が全世界で一斉に発売された22日、フランスのアップルストアでは従業員たちがストライキを実施した。「アップルにとって1年で一番大切な日」。それを分かっていながら、なぜ従業員はストを決断したのか。現場を訪ねた。

パリ中心部のオペラ座近くにあるアップルストア。フランスにある20店舗のうち、1日の来訪客が最も多い旗艦店だ。午前9時半ごろに訪れると、強い雨にもかかわらず、「15シリーズ」を発売日に手に入れようと入店を待つ客の行列ができていた。

そのすぐそばにオレンジ色のベストを着た数十人の男女が集まっている。ストを決行したアップルストアの労働組合のメンバーだ。約2200人の全従業員のうち、少なくとも1割がストに参加しているという。

 スト参加者の代表を務めるアルバン・ブルフォーさんが集まった報道陣を前にまず訴えたのは、フランス以外の国のアップルストアで働く従業員との「連帯」だった。

■日本のアップルストア従業員への連帯も

 「今回、日本とスペイン、イタリアのアップルストアで働く同僚に連絡したが、ストはできないということだった。私たちは今日、彼らのためにもここで声を上げる」

 従業員にストを決断させた直接の原因は、賃上げ交渉がまとまらなかったことだ。労組側は7%の賃上げを求めたが、経営側は4.5%から譲らなかった。

 しかし、労組側が訴える苦境は、賃上げ交渉の数字以上に厳しい。昨年10月から新規の従業員の採用は凍結されており、約2600人いた店員は、この1年間に500人近く減った。

 ブルフォーさんはパートタイムで働く従業員も増えているといい、「ウーバーイーツの配達員を兼業しているシングルマザーもいる」と打ち明ける。米アップルがアップルウォッチに命を救われた人の体験をもとにしたCMを作っていることから、「アップルは従業員の生活を救うべきだ」と皮肉も口をついた。

朝日新聞社より転用

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