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牝馬の活躍が多かった2020年…”血のスポーツ”日本競馬の未来にあかりが灯っている【本城雅人コラム】

有馬記念を制したクロノジェネシス(手前)。奥は3着のフィエールマン© 中日スポーツ 提供 有馬記念を制したクロノジェネシス(手前)。奥は3着のフィエールマン

◇コラム「ぱかぱか日和」

うまく騎乗するには、道中は動かずに脚をためるのが理想とされる。だから早めに動くのは、騎手がそれしか選択肢がないと感じた状況であって、負ける危険と隣り合わせとなる。それをクロノジェネシスの北村友一騎手はノーリスクでやり遂げた。

他馬との兼ね合いで前半はポジションが真ん中より後ろ、しかも明らかなスローペースだった。それを向正面から北村友騎手は迷うことなく仕掛けた。とはいえロングスパートのようで、北村友騎手は力を出し切らないように馬のリズムを崩さなかった。愛馬をよく知った上でのさじ加減が、ゴール前でのサラキアの強襲をしのいだ。

牝馬のワンツーに、2020年は牝馬の年だったことが色濃く残った。年度代表馬はアーモンドアイになるだろうが、クロノジェネシスも、牡馬相手に大阪杯を制したラッキーライラックも、牝馬三冠のデアリングタクトも、そしてクロノジェネシスの姉で香港カップを制したノームコアも間違いなく20年を彩ったヒロインである。その2頭の名牝を産んだクロノロジストには「最優秀繁殖牝馬」のタイトルを送りたい。

これだけたくさんのドラマが生まれたのは関係者が最後まで努力したからだ。世界中の競馬が中止、延期が余儀なくされる中、日本はスケジュールを変更することなく最後までやり遂げた。レースの顔となるジョッキーからコロナ感染者が出ることがなかった。関係者だけでなく、家族までが「競馬を止めてはいけない」という思いがあったから実現できたのだろう。

血のスポーツである競馬は「現在」と同じくらい「未来」が大切である。騎手、厩舎スタッフ、牧場、JRA関係者が一体となった20年に牝馬の活躍馬が多かったことは、日本競馬の未来にあかりが灯っていることを競馬の神様が示しているような気がする。(作家)

中日スポーツより転用中日スポーツ

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