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しまむらが9期ぶりに減収、失われた「雑多感」

結果は真正面から受け止めなくてはいけないが、ただただ悔しい。忸怩たる思いだ」ーー。衣料品大手しまむらの北島常好社長は、4月2日に開かれた決算説明会の場で悔しさをにじませた。

しまむらが同日発表した2018年2月期決算は、売上高5651億円(前期比0.1%減)、営業利益428億円(同12.1%減)と減収減益で着地した。1988年の上場以降、同社は順調に売り上げを拡大してきた。リーマンショック後の2009年2月期にはわずかながら減収を経験したが、今回はその時以来、9期ぶりの減収となった。

■売り場を整理整頓しすぎた

苦戦したのは、主力業態である「ファッションセンターしまむら」。2018年2月期末時点の総店舗数は1401と前期末から36店増えたものの、全店売上高は前年対比で1.3%減と落ちこんだ。

不振の要因の1つが、店頭のアイテム数や在庫を絞り過ぎたことだ。同社は昨年度までの3年間、「変革」をテーマに売り場の整理を進めてきた。商品単価が下落する中で売上高を確保するため、とにかく数を売ろうとした時期が過去に続き、各店舗の抱える在庫が膨らんだからだ。

 結果として3年間で在庫を2割、アイテム数を3割削減した。ただ、今年2月に13年ぶりの新社長となった北島氏は「(最終年に当たる)2017年度については整理整頓しすぎてしまった」と反省する。アイテム数を減らしすぎたことで、しまむら特有の“雑多感”が薄れ、多数ある商品の中での“宝探し”を醍醐味に感じていた固定客が離反。さらに秋に発売したPB(プライベートブランド)が瞬間的になくなるなど、売れ筋商品が欠品する事態も発生した。

 広告宣伝も失敗が続き、売上高の減少に歯止めをかけることができなかった。昨年3~4月はほぼ毎週テレビCMを投入していたが、同社のイメージがうまく伝わらず、「本当に反応が良くなかった」(北島社長)。その後、価格の安さや「しまむら」の店名を前面に打ち出したCMやチラシに転換したが、売り上げを取り戻すには至らなかった。

会社側は今2019年2月期について売上高5875億円(前期比4.0%増)、営業利益510億円(同18.9%増)と増収増益を計画。いずれも過去最高となる。

今期は楽天やZOZOTOWNなどEC(ネット通販)モールへの出店を模索する。だが、しまむらにとってECはあくまで店舗に来られない人をターゲットとした補完的位置づけであり、今年度の業績への貢献は限定的だ。復活のカギを握るのが実店舗であることに変わりはない。

■地域に寄り添った商品展開も

既存店は婦人服を中心に、アウターやトップス、スカートなどのカテゴリーで商品数を増やし、テコ入れを図る方針だ。品ぞろえの拡充で“宝探し”を楽しめるような店舗に戻し、一方で現在約3割を占めるPB商品の開発にも注力する。「しまむらの代表商品というと、『裏地あったかパンツ』としか言われない。もう一つ看板商品を作りたい」(北島社長)。

 店舗が立地する地域の特性に応じたラインナップも強化する。これまで店頭に並べる商品のバリエーションは全国一律が基本だったが、昨年は各店舗からの要望に応じた商品展開も行える仕組みを構築。夏祭りや運動会など、地域のイベントに対応した商品を投入し、来店動機を増やす狙いだ。

また、昨年開業した京都駅近くの店舗では、訪日観光客の需要を見越して浴衣や着物を充実させた。低価格を強みに、近年流行しているレンタルへの対抗も辞さない構えだ。売り上げの動向を見て、博多や浅草といった訪日観光客の多い地域の他店舗でも、同様の商品展開を検討する。

 ECが勢いを増す中、今期もグループ全体で102店舗の出店(前期は87店舗)を計画し、実店舗拡大の方針は堅持するしまむら。ただ、3月度の既存店売上高は前年同月比5.6%減と苦しいスタートになった。会社側がもくろむ業績計画を達成するのは決して容易ではない。

 

東洋経済オンライン

 

 

 

一言コメント
たしかに雑多感なくなって、普通の店になったかも。

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