経済安保法改正へ…海外での港湾整備など民間の事業支援や医療へのサイバー攻撃対応強化など
- 政治・経済
- 2025年11月7日

高市首相は7日に開く経済安全保障推進会議で、2022年に成立した経済安全保障推進法の改正に向けた検討を閣僚に指示する方針を固めた。港湾整備など民間事業者が海外で行う重要事業を支援する枠組みの創設や、海底ケーブル敷設といった事業への支援拡大を検討し、首相が掲げる「危機管理投資」の促進につなげたい考えだ。電気やガスなどの「基幹インフラ(社会基盤)」に医療分野を追加で指定し、サイバー攻撃への対応を強化する。
複数の政府関係者が明らかにした。政府案を整理し、近く開く有識者会議での意見を踏まえ、内容を詰める。来年の通常国会での法改正を目指す。経済安保法は3年をメドに必要に応じ見直しを行うと定めている。政府は、AI(人工知能)など先端技術の開発競争を含む米中の対立激化や、サイバー攻撃の深刻化など安保環境の変化を踏まえ、法改正が不可欠だと判断した。
海外での事業支援は、要衝の港湾の運営権を握るなど、新興・途上国「グローバル・サウス」への影響力を強める中国への対抗を念頭に置く。新設する「海外経済安保事業展開支援(OESA)(仮称)」の枠組みを通じ、グローバル・サウスとの連携を深める事業の展開を後押しする。重要物資の輸送を滞らせない目的で、港湾の修繕事業を受注する事業者に資金を拠出することなどを想定する。
経済安保法の支援対象は、半導体など重要物資の供給網確保が中心だ。改正に際し、海底ケーブル敷設などの民間の重要事業まで対象を広げることで、危機管理投資の拡大も図る構えだ。
基幹インフラに医療を指定するのは、病院に対するサイバー攻撃への対処が急務となっているためだ。22年には大阪府立病院機構の「大阪急性期・総合医療センター」がサイバー攻撃を受け、外来診療の中止に追い込まれた。指定後は、地域の拠点病院などはコンピューターシステムをはじめとする重要設備の導入時に政府の事前審査が義務づけられる。サイバー攻撃への耐性を含め設備に問題がないかを確認する。
改正案には、内閣官房に経済安保の調査研究を担うシンクタンクを創設することや、守秘義務を課して官民が情報共有する「官民協議会」の設置も盛り込む考えだ。国民の個人データなどの流出を防ぐ措置も議論する。
読売新聞より転用



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