山下りのスペシャリスト、駒沢大・伊藤蒼唯がトラックでも日本一…「今後も勝ちきるレースを」
- スポーツ
- 2025年5月22日
大学ナンバーワンの座を争う、日本学生個人選手権が4月下旬に行われた。7月にドイツで開催される世界ユニバーシティー大会の選考会を兼ねた一戦では、駒大の最上級生が一皮むけた姿を披露した。(編集委員 近藤雄二)
鋭いスパートで混戦の男子1万メートルを制した駒大の伊藤蒼唯=後藤嘉信撮影© 読売新聞
日本学生個人1万m、圧巻のスパート
めまぐるしく先頭が入れ替わった男子1万メートルは、駒大の伊藤蒼唯(4年)が鋭いスパートで勝ちきった。
ラスト1000メートルで10人が先頭集団にひしめく大激戦。そこから、駒大の桑田駿介(2年)が先頭に立った。徐々にスピードが上がる中、あと700メートルでは国学院大の野中恒亨(3年)がトップに躍り出る。すると隊列が縦長に伸び、その瞬間を狙い澄ましたように、伊藤が一気に先頭を奪った。
それでも勝負は決まらない。残り500メートルで再び野中が前へ。伊藤の背後には中大の岡田開成(2年)も追いすがる。そして、ラスト1周。はじけるように飛び出したのが伊藤だった。ただ一人、短距離走者のようなスプリントを見せ、後続をぐんぐん引き離す。28分53秒75。圧巻の爆発力で初のタイトルをつかんだ。
1年の箱根駅伝6区で区間賞を獲得した下りのスペシャリスト。今年1月の箱根6区でも57分38秒の好記録をマークし、区間2位でチームの復路優勝に貢献した。ただ、これまで、トラックなどの個人種目では目立った結果を残せなかった。それだけに、初の日本一のタイトルに「1番を取れたのがすごくうれしい」と、笑みをこぼした。
大八木弘明総監督が指導に当たる特別チーム「 G(ジー)goat(ゴート) 」で、世界を目指す駒大OBたちに交じってトレーニングを重ねている。
「日本トップクラスの選手を間近で見ながら練習して、気持ちの持ちようはレベルアップできている」
【表】日本学生個人選手権の主な上位成績
その結果、今年は2月のクロスカントリー日本選手権で学生トップの4位に入り、5月上旬には5000メートル13分32秒88の自己ベストをマーク。大八木総監督も「しっかり走り込んで、スピードとスタミナのバランスが良くなった。今年はまだまだ成長するよ」と語る。
派遣枠に限りがあり、4月下旬発表のユニバ代表名簿に名前はなかったが「今後も勝ちきるレースをして、僕の学年が中心になって大学3大駅伝優勝を果たしたい」と伊藤。駒大の「顔」になりつつある新エースは言った。
読売新聞 より転用

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