高校野球にDH制!来春選抜大会から導入へ 指導者から求める声…近日中に承認、新時代へ突入
- スポーツ
- 2025年7月29日

高校野球で来春の選抜大会から指名打者(DH)制を導入する方針であることが28日、分かった。近日中に開かれる日本高野連の理事会で、同制度採用を議題に挙げることを複数の関係者が明かした。理事会での承認に支障はない見通しで、承認されれば、高校野球の公式戦で初めてDH制が採用されることになる。
高校野球におけるDH制導入の議論は、日本高野連が今年1月に発足させた「7イニング制等高校野球の諸課題検討会議」で行われてきた。同会議は、日本高野連の宝馨会長やU18高校日本代表監督の小倉全由氏ら15人で構成され、7回制やリプレー検証の導入について検討するなど、高校野球が直面するさまざまな課題について話し合いを重ねてきた。
同会議の議論の中心である7回制が採用された場合には、選手のプレー機会が減少する懸念がある。そこで、一人でも多くの選手に出場機会を与える方法の一つとしてDH制が検討されてきた。同制度には、打撃が長所など一芸に秀でた選手の出場機会増加、打撃や走塁時における投手の故障予防などの側面もある。検討会議のメンバーも大半が賛成していることから、7回制導入可否の判断を待つことなく、近日中に開催される理事会で議題に挙げることになったとみられる。
7回制の議論が本格化する以前から、指導者の間ではDH制を求める声が数多くあった。DH制が採用されているU18W杯で監督経験がある明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督は昨年8月に「(導入するなら)7回制よりDH制の方を先にすべきではないかと思っている。(先発投手がDHを兼任する)“大谷ルール”ができたのだから。投手を(打者として)出したい場合も出せるからね」と言及。DH制の導入に賛成の立場を示していた。 アマチュア野球界でDH制の採用が広がっている。大学野球では、東京六大学野球と関西学生野球で来春リーグ戦から同制度を採用することを発表。この2連盟の採用により、来年度からは全国大学野球の全27連盟がDH制となる。高校野球でもDH制が導入されることになれば、高校生以上のカテゴリーではプロ野球のセ・リーグ以外でDH制が敷かれることになる。
導入時期については、今秋公式戦は見送り、来春選抜から採用する案が濃厚とみられる。7回制が議論されるなど高校野球が大きな変革期を迎えている中、新たな一歩を踏み出すことになりそうだ。
《7回制やリプレー検証は引き続き議論》
○…7回制やリプレー検証の導入可否については引き続き議論が進められる見込みだ。日本高野連は5月21日の理事会で、全国の加盟校や一般のファンにアンケートなどを実施することを決定。6月30日から今月11日まで公式サイトなどでアンケートを実施した。同連盟の宝会長はかねて「試合時間短縮に向けて最大限努力し短縮できれば議論の方向も変わってくる。時間がかかりすぎるとなれば、7回制導入もありえるかとは思う」と説明している。また7回制は、9月に開催される国民スポーツ大会で採用される。 【高校野球の主な近年の変革アラカルト】
☆タイブレーク 18年選抜から導入。当時は延長12回終了時点で同点の場合に、13回表から無死一、二塁で再開していた。23年選抜からは延長10回からの適用に前倒しされた。
☆球数制限 20年から投手の投球数を1週間500球以内とする球数制限を試験導入。今春選抜から正式に導入された。
☆ベンチ入り 23年夏の甲子園大会からベンチ入りメンバーを18人から20人に拡大。投球数制限に対応するために複数投手が必要で、選手の暑さ対策などの観点から増員された。
☆低反発バット 投手への打球直撃などの事故防止を目的とし、24年選抜から従来より細く、素材が厚い新基準の金属製バットに完全移行。
☆朝夕2部制 暑さ対策の一環として、昨夏甲子園大会から猛暑の時間帯での試合実施を避ける「朝夕2部制」を部分的に導入。23年夏の甲子園大会からは、5回終了時に休息時間を設ける「クーリングタイム」も実施している。
スポニチアネックスより転用
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