データミックスは企業間取引・企業経営に必須なビジネスニュース、政治・社会ニュースを配信しています

国内メーカーの「インド投資」加速…人口14億人で内需旺盛、成長予想は「年6%超」

日本のメーカーがインドへの投資を加速している。世界最多の14億人超の人口を抱え、急速に経済成長が進んでおり、旺盛な内需を期待できるからだ。米国の関税政策の影響で世界的に貿易の停滞が懸念される中、インド経済の存在感が高まっている。

関税の影響

 三井住友銀行は7日、タイの首都バンコクで「インドビジネスセミナー」を開いた。タイ経済は米国の関税措置で減速が見込まれ、インドへの生産移転などを検討する企業が増えていることから開催。目崎浩之インド事業部長は「インドは輸出が大きくなく、関税措置の影響が相対的に小さい」と話し、日本企業幹部ら約130人が聞き入った。

 日本総合研究所によると、2024年のインドの国内総生産(GDP)に占める輸出の割合は21・2%で、アジアの主要国・地域では中国(20%)に次いで2番目に低い。米国が関税を引き上げても経済への打撃は限定的だとみられている。

 ホンダは約161億円を投じ、西部ビタラプールの二輪車工場を増強する。他の3か所の工場を含め、27年のインドの生産能力を現在より1割以上多い年700万台に拡大する計画だ。

 スズキも2月、インドで4か所目の完成車工場の操業を始めた。ダイキン工業は30年までに、エアコンの新工場を稼働させる。

 工場向けのコンベヤーなどを手がけるダイフクは4月、南部ハイデラバードで新工場の操業を始めた。下代博社長は「内需が拡大しているインドは安定受注が見込め、思い切った投資ができる」と指摘する。

欧米韓も

 国際通貨基金(IMF)は、インドの経済成長率が25~30年に毎年6%を超えると予想する。欧米や韓国などの企業も進出を加速しており、インド商工省によると、24年の対内直接投資額は前年比28%増の531億ドル(約7・8兆円)に増えた。「米国の関税政策が、製造業でのインドの地位を高める」(印調査研究機関GTRI)との期待もある。

 ただ、米印関税交渉ではインドが米国製品への関税を引き下げる方向で、今後は事業環境が変わる可能性もある。第一生命経済研究所主席エコノミストの西浜徹氏は「インドは輸入品に高関税を課し、工場を建設する外資企業に補助金を支給して国内生産を振興してきたが、政策の修正を迫られる可能性がある」と話す。

読売新聞オンラインより転用

読売新聞オンライン

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。