「燃料スイッチ、なぜ切ったのか」「切ってない」…墜落直前のエア・インディア機のコックピット会話
- 国際
- 2025年7月14日
1カ月前に墜落して260人が死亡したエア・インディア所属のボーイング787ドリームライナー旅客機が、離陸直後にエンジンの燃料スイッチが遮断されて墜落したとの調査結果が明らかになった。
その際のコックピット内では「スイッチをなぜ切った?」「自分は切っていない」といった会話が交わされていたことがわかった。
12日(現地時間)、ロイター、AFP、ブルームバーグ通信によると、インド航空事故調査局(AAIB)はこの内容を含む予備調査報告書を公表した。
報告書によると、先月12日、インド西部グジャラート州アフマダーバード空港を離陸した旅客機は、離陸から約3分後に1番・2番エンジンの燃料供給スイッチ2つが「作動」状態から「遮断」状態に切り替わった。 これにより、2基のエンジンへの燃料供給が止まり、エンジンの出力が低下、旅客機の高度が急激に下がり始めた。
この時、一人の操縦士がもう一人に「なぜ燃料を遮断したのか」と尋ねると、相手は「自分は切っていない」と答えるやり取りがボイスレコーダーに記録されていた。ただし、誰が機長で誰が副操縦士かは明らかにされなかった。 操縦士たちはスイッチが遮断されてから約10秒後に再び燃料スイッチを入れ、エンジンの再点火を試みた。
しかし、1番エンジンのみ再稼働し始め、2番エンジンは十分な出力を回復しなかった。 その後、操縦士の一人が「メイデー(緊急信号)」を3回発信し、数秒後に旅客機は墜落した。 燃料スイッチが遮断された時点から「メイデー」発信までの時間はわずか33秒だった。
燃料スイッチを切ると、エンジンはほぼ即座に停止するため、通常はエンジン火災のような緊急時にしか操作されない。
報告書では、飛行中に燃料スイッチが「遮断」に切り替わった正確な原因はまだ明らかになっていないとされている。
米国の航空安全専門家ジョン・ナンス氏はロイターに対し、「正気のパイロットなら、飛行中にこのスイッチを絶対に切らない」とし、とくに離陸直後の上昇中にはなおさらだと説明した。
また、ある航空宇宙エンジニアで元戦闘機パイロットはブルームバーグに「操縦士たちが燃料スイッチを再び押すのに10秒もかかったのは非常に奇妙だ」と指摘し、「自分なら即座にスイッチを入れ直す」と話した。
燃料スイッチを誰が、なぜ操作したのかは依然不明のままだ。
墜落した機体の機長は飛行経歴1万5000時間超のベテランで、エア・インディアの教官でもあり、副操縦士は3400時間の飛行経験を持つ人物だった。
調査当局はまた機体メーカーのボーイングやエンジンメーカーのGEエアロスペースに責任があるとする証拠は、現時点では見つかっていないと明らかにした。 AAIBはさらに調査を進め、1年以内に最終報告書を発表する予定だ。
問題のエア・インディアAI171便(アフマダーバード発・ロンドン行き)は、先月12日に離陸直後に墜落。乗客・乗員合わせて260人が死亡し、インド系英国人乗客1人のみが奇跡的に生存した。
中央日報日本語版より転用
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