米ハーバード大で研究用の遺体をヤミ売買 捜査当局、元管理者を起訴
- 国際
- 2025年5月27日
米司法省の庁舎=2024年2月14日、秋山信一撮影
米国の名門ハーバード大学に研究用として善意で提供された遺体の一部が闇売買されていた――。そんな衝撃的な事件が米国で発覚し、大学の遺体安置所の元管理者が売買への関与を認めた。捜査当局は広範な遺体売買ネットワークがあるとみて調べている。
米司法省の発表や起訴状によると、ハーバード大医学部の遺体安置所の管理者だったセドリック・ロッジ被告(57)は2018年以降、解剖の授業や研究などで使われた後の遺体の一部を秘密裏に販売していた。遺体は通常は火葬されることになっていたが、被告は上司や遺体を寄贈した遺族らの許可を得ず、東部ニューハンプシャー州の自宅などに運び出していた。
売買されたのは臓器や脳、皮膚、手などで、解剖された「二つの顔」が計600ドル(約8万5580円)で売却されたり、皮革製品を作るために売られたりしたケースがあった。遺体の一部を送るのに通常の郵便サービスを使ったこともあった。
常連客の一人は18年9月~21年7月、電子決済サービスを通じて、ロッジ被告の妻のアカウントに39回にわたって計3万7355ドル(約533万円)を送金していた。19年5月にはメモ欄に「7番の頭」と記して1000ドル(約14万2600円)、20年11月には脳を意味するとみられる「Braiiiiiins」というメモと共に200ドル(約2万8500円)をそれぞれ送っていた。
被告らはソーシャルメディアや携帯電話で連絡を取り合っていた。ロッジ被告は遺体安置所に購入希望者を招き入れ、購入する遺体の一部を選ばせたり、搬出を手伝わせたりしていた。購入者の一部は転売目的だったが、他の購入者が遺体をどう扱っていたかは不明だ。
一連の事件では23年、ロッジ被告を含む6人が起訴された。ロッジ被告は当初否認していたが、司法省は今年5月22日にロッジ被告が有罪を認めたと発表。他の被告の一人は禁錮1年6月の判決を受けている。これとは別に、中西部アーカンソー州の火葬場から遺体を盗み、ロッジ被告の客の一人に販売していた火葬場の元従業員の女性が、禁錮15年の判決を受けた。
事件発覚後、ハーバード大は献体の制度や遺体安置所の運営について外部の専門家による検証を実施し、再発防止策をまとめた。
毎日新聞社より転用

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