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ふくおかFGなど地方銀行4グループが過去最高益、日銀の政策金利引き上げで利息収入増…九州・山口・沖縄

九州・山口・沖縄の地方銀行16グループ・銀行の2025年3月期連結決算が出そろった。日本銀行の政策金利引き上げに伴って、貸出金利息による収入が伸び、最終利益は約7割が前期を上回って増益だった。26年3月期の予想は多くの地銀が増益を見込むが、トランプ米政権の関税措置による影響を織り込んで減益とするケースもあった。

ふくおか、山口、九州フィナンシャルグループ(FG)と西日本フィナンシャルホールディングス(FH)の4グループは、合併などの特殊要因を除けば、いずれも過去最高益だった。ふくおかFGの五島久社長は12日の記者会見で「地政学リスクやインフレ懸念などめまぐるしく変動した1年だったが、好調な決算を迎えられた」と総括した。

貸出金の利回り改善に加え、資金需要も旺盛だった。一般的に金利が上昇すると、銀行はコストとなる預金利息を先行して上げるため、プラスの効果は遅れて表れる。しかし、大手行を中心にコロナ禍からの回復による設備投資の需要などを取り込み、貸出金の量も増やしたことで増益を確保した。本業のもうけを示す業務純益も6割近くが増益だった。

トランプ関税で倒産懸念も

 26年3月期の予想は、日銀が今年1月に実施した政策金利の追加利上げの効果が大きく表れるため、約7割が増益を見込む。

金利の上昇分について各行は一部を融資先と交渉しながら反映させていく。西日本FHでは1年かけて融資先の約7割で利上げを行う計画だ。25年3月期に30億円程度だった金利上昇のプラス効果は、100億円以上になるとしている。

ただ、中小企業を中心に倒産は全国で増加傾向にある。トランプ米政権の関税措置を巡って、「自動車産業では下請けに影響が出る」(九州FGの笠原慶久社長)との懸念も広がる。山口FGは、倒産に備えた与信費用を手厚く見積もり、26年3月期は最終減益を見込んだ。

預金の獲得が焦点に

 収益環境が改善する中で焦点となるのが貸し出しの原資となる預金の獲得だ。ネット銀行が実店舗を持たずにコストを抑え、高金利で預金を集める中、預金残高を減らした地銀も目立った。筑邦銀の鶴久博幸頭取は「本気で対応策を考えないといけない」と強調した。

 こうした中、大分銀は4月に行内の表彰制度で初めて預金獲得の項目を設け、今年度は預金残高を2%程度積み増す目標を掲げる。幹部は「日銀がさらに利上げすれば、競争も激化する」と警戒感を示した。

読売新聞オンラインより転用

読売新聞オンライン

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