預金金利引き上げの動き、定期は1%超も登場 ネット銀や地銀が争奪戦 日銀利上げにらみ
- 政治・経済
- 2025年4月9日
日銀が政策金利の引き上げを進める中、インターネット専業銀行や地方銀行を中心に、預金金利引き上げの動きが広がってきた。定期預金の中には1%を超えるケースも出始めるなど、預金争奪の動きが激化している。あまりの過熱ぶりに困惑の声も聞かれ、今後は各行の戦略によって対応が分かれる可能性もある。
「金利上昇局面で、各行にとって預金獲得の重要性が増している」。auじぶん銀行マーケティング企画部の白井貴之調査役はこう話す。
■引き上げで「お得感」高める
同行は3月1日、新規口座開設者を対象に、円定期預金(3カ月物)の金利を年1・0%から1・2%に引き上げた。同時に金利1・0%の1年物の取り扱いも開始。3月の新規預け入れ人数は2月の倍近くに上ったという。
東京きらぼしフィナンシャルグループ傘下のUI銀行では1月24日から、定期預金(1年物、預入額1千万円未満)の金利を0・55%から1%に引き上げた。足元で預金残高は約1500億円増え、6500億円を超えたという。
1%を超える定期預金金利が続々と登場する一方、普通預金でも金利引き上げの動きが広がる。
東京スター銀行は3月に円普通預金の優遇金利を最大年0・5%から0・6%に変更。「口座を持つお得感を一層高める」(広報)戦略だという。
SBI新生銀行も円普通預金の最優遇金利を3月3日に0・3%から0・4%へと引き上げた。同行が預金金利を引き上げるのは、この1年で3回目となる。
■「これ以上は困る」本音も
各行が預金獲得に力を入れるのは、貸し出しや有価証券の運用に回すお金を確保するためだ。金利の復活で、預金で集めたお金を貸し出すことで得られる「預貸利ざや」で収益を稼ぎやすくなっていることが、競争を過熱させている。
だが、「金利のみで獲得した預金は、粘着性が高いのかは疑問」(常陽銀行の秋野哲也頭取)との声も上がる。あるネット銀の担当者も「金利負担もバカにならないので、これ以上の金利競争になるのは困る」と本音を吐露する。
一方で、ネット銀にとって、新規の預金獲得は「認知度を上げるチャンス」(auじぶん銀の白井氏)だ。今後は金利競争でいたずらに経営体力を消耗せずに、住宅ローンや資産運用などのサービスも組み合わせ、顧客を定着させられるかがカギとなりそうだ。
産経新聞より転用
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