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「ウーバー」配達員、9月から自己負担で労災加入可能に

フリーランスの働き手が労災保険に特別加入できる制度について、厚生労働省は18日、宅配代行業とITエンジニアを9月から対象に加えることを決めた。ウーバーイーツなどの配達員も対象になるが、加入は任意で、働き手が自ら保険料を負担するため、利用が広がらない可能性もある。

18日、厚労省の労働政策審議会で了承された。

労災保険は本来、雇われる労働者が仕事・勤務中にけがや病気を負ったときの治療費などを給付する制度で、雇い主が保険料を払う。ただ事故に遭いやすい業種を中心にフリーランスの特別加入も認めてきた。今年4月からは、芸能従事者、アニメーター、柔道整復師の3業種が加わった。

フリーの働き手は定まった給料がない。そこで特別加入では、働き手があらかじめ3500~2万5千円の範囲で「給付基礎日額」を設定し、保険料はこれに乗じる保険料率で決まる。保険料率は仕事の危険度によって違い、宅配代行業は1・2%、ITエンジニアは0・3%となった。

宅配代行業で給付日額を1万円とした場合、払い込む年間保険料は4万3800円になる。給付日額を低く設定すると、保険料や給付額も低くなる。

業界団体の推計では、飲食宅配に携わるフリーの自転車配達員は国内に約9万人、フリーのITエンジニアは少なくとも約17万6千人いるとされる。

個人が仕事をネットで請け負う働き方をめぐっては、雇われる働き手に準じた保護が必要という議論が世界的に起きている。この流れを受け、ウーバーイーツの配達員らでつくる労働組合「ウーバーイーツユニオン」は、雇い主が保険料を払う本来の労災保険の適用を求めてきた。特別加入では、事故に遭った配達員が未加入だった場合、自己責任とされて事業者側の責任が問われにくくなる懸念があるからだ。

18日の審議会でも、委員から「セーフティーネットの確立という点で、保険料の高さはネックになるのでは」という指摘があった。

それでも、厚労省の幹部は「これまでは民間保険だけだったが、そこに給付の手厚い特別加入という選択肢が増えるという点で意義がある」と話す。特別加入の利用状況などは今後調査していくという。(山本恭介)

朝日新聞より転用

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