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現金「ばらまき」の原資焦点 河井前法相夫妻逮捕から10日

参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件の構図

 昨年7月の参院選広島選挙区を巡る大規模買収事件は28日、前法相の河井克行容疑者(57)=衆院広島3区=と妻案里容疑者(46)=参院広島=が公選法違反の疑いで逮捕されてから10日となり、来月8日の勾留期限へ折り返しを迎える。両容疑者は「党勢拡大のため」などと買収目的を否定。一方、検察当局は科学捜査を駆使し、参院選公示の前月に集中的に現金を提供している点も踏まえ、立証に自信を見せる。現金を渡した趣旨が焦点になる中、「ばらまき」の原資に検察が切り込めるかも注目される。

 【検察の捜査】 最先端技術で証拠固め

「カネまみれ」。検察幹部は昨夏の参院選をこう評した。検察当局は今年1月、案里容疑者の陣営が車上運動員に違法な報酬を払ったとされる公選法違反事件で夫妻の自宅などを家宅捜索し、現金の配布先とみられるリストを発見、押収した。広島選挙区内の地方議員や首長、後援会幹部ら100人以上の名前や金額が並び、総額は3千万円を超えていた。

 検察当局は東京や大阪などの検事を広島地検に応援で派遣。3月下旬から、リストなどを基に関係者の一斉聴取に乗り出した。その際、捜査で駆使したのが最先端技術だった。

両容疑者や議員らからスマートフォンや携帯電話を押収し、衛星利用測位システム(GPS)の位置情報を解析。案里容疑者が今回の参院選で自民党の公認を得た昨年3月以降を中心に、双方の情報を突き合わせ、接触した場所や日時を特定した。密室でのやり取りについて証拠を集める捜査は難度が高いが、データ解析が大きな支えになったとみられる。

さらに克行容疑者が削除を指示したとみられるリストのデータや陣営内の無料通信アプリLINE(ライン)のやりとりも復元。録音・録画による聴取で計50万円の受領を認めた議員は「検察の本気を感じた。うそは通らないと観念した」。検察当局は200人近い関係者の聴取を重ね、「被買収者」の調書を積み上げた。

【提供の時期】 参院選の前月にも集中

検察当局は、両容疑者が昨年3~8月に94人に計約2570万円を配ったとして今月18日に逮捕した。94人のうち半数近い約40人は首長や地方議員が占めるという。1人当たりの金額は5万~200万円と大きく開きがあり、役職や地域への影響力の大きさに応じ「ランク分け」していた可能性がある。

焦点になるのが現金の趣旨。昨年3、4月の統一地方選前後に受け取った議員からは「当選祝い」「陣中見舞い」だったとの証言が相次ぐ。関係者によると、克行容疑者は一部の現金配布を認めながらも「党勢拡大に必要な経費や陣中見舞いだった」と供述し、買収の意図を否定している。

一方の検察当局。現金提供の時期が統一選前後だけでなく、同7月の参院選公示が迫った6月にも集中する点に注目。政治資金規正法で「寄付」として処理するのに必要な領収書を求めた形跡もない上、公示前に案里容疑者のポスターや後援会はがきと一緒に現金を受け取った議員も多いことなどから、票の取りまとめを期待する強い買収意図があったとみている。

【資金の流れ】 「安倍さんから」と渡す

今回の参院選で両容疑者側は自民党本部から昨年4~6月、5回にわたり計1億5千万円の資金提供を受けた。首相補佐官などを歴任した克行容疑者は政権中枢に近いとされ、同じく党公認で広島選挙区から立候補し、落選した溝手顕正氏の10倍に当たる額だった。

1億5千万円の一部は車上運動員への違法な報酬に使われたことが判明しているが、残る使途や議員らに配られた現金の原資は明らかになっていない。

安倍晋三首相の動静によると、克行容疑者は党本部が資金提供した日の前後に単独で複数回、首相に面会している。案里容疑者の後援会長を務めた広島県府中町議は中国新聞の取材に対し、克行容疑者が選挙事務所で1対1の状況で30万円を渡してきた際、「『安倍さんから』と言われた」と証言した。検察当局は、前代未聞の「金権選挙」を支えた資金の流れも調べているとみられる。

中国新聞デジタル

 

 

一言コメント
中途半端に終わらせないでね。

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