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軽減税率制度導入まで2カ月 「複雑すぎる」の声

 10月の消費税増税を円滑に迎えるため国税庁が5度目の改定を行った軽減税率制度の「Q&A集」。国税庁の担当者は同制度について「理解は進んでいる」とするが、Q&A集の「問い」は200問を超えている。それだけ複雑な制度であることの表れで、商店街などを取材すると「複雑すぎる」「現場を知らずに作ったルールだ」といった声が聞こえ、混乱も予想される。(蕎麦谷里志)

「おばあちゃんの原宿」としても知られる東京・巣鴨。巣鴨地蔵通り商店街では和菓子店や茶屋などが数多く並び、お年寄りが小休止できるよう、店内に椅子を置いている店も少なくない。

軽減税率制度では、持ち帰ったり食べ歩きしたりする場合は軽減税率が適用され税率は8%に据え置かれる。しかし、店内の椅子に座って食べると「外食」と同じ扱いになり10%の税率になる。

「うちの場合、3個入りのパック菓子を買って、1つだけ店内で食べて残りを持ち帰る人も多い。この場合の税率はどうなるの?」

軽減税率制度への対応を取材していたら、ある菓子店の男性店主(48)から逆質問を受けた。この場合、セット販売なので「一体」の商品とみなされ、1つを店内で食べるなら3個とも10%の税率になる。ただ、バラ売りのものを3個買えば、店内で食べる1つだけが10%で、持ち帰る2つは8%となる。そのことを伝えると男性は「お客さんにそんな説明できない。複雑すぎる」と苦笑した。

国税庁の担当者は「説明会などを開いても実務的で細かな質問が増えており、それだけ軽減税率への理解が広がってきている証拠だ」と前向きにとらえる。ただ、自身が販売する商品でも軽減税率の対象になるかどうかを知らない店主もおり、制度への理解は個人差が大きいのが実情だ。

事業者ですら理解が十分に進んでいない中、一般人がこれだけ複雑な制度を理解するのは至難の業といえる。

和菓子店の女性(46)も「ちょっと休憩したいというくらいの感覚で座ったお年寄りに、店内で食べたら『外食』扱いで10%になるという説明はしにくい」と語る。制度についての理解が不十分な中、厳格に運用すれば客とのトラブルにもなりかねない。

他にも、持ち帰る客が増えれば、客と会話する機会が減ったり、周辺の公園などで飲食する人が増えてゴミを放置するなど、新たな問題が生じたりすることを懸念する声も聞かれた。

軽減税率制度の導入まで残り2カ月。レジの入れ替えや価格表示の見直しだけでなく、客への周知や店員の教育など、取り組まなければならない課題は多い。

産経新聞

 

 

一言コメント
結局、しわ寄せは末端にくる。

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