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【新社長 我かく闘う】「この地は地方創生の第一走者に」北九州銀行・嘉藤晃玉頭取

 ■「銀行員の醍醐味」に立ち返る

山口フィナンシャルグループ(FG、山口県下関市)傘下の北九州銀行の頭取に、嘉藤晃玉氏(58)が就任した。「地域、企業、個人など、さまざまな面で価値向上に役立てる存在でありたい」と抱負を述べた。地方銀行の経営が厳しさを増す中、法人営業という自身の「原点」に立ち返る。(九州総局 大森貴弘)

私は北九州との縁は非常に深く、自宅も北九州市内にあります。

昭和59年に山口銀行に入り、最初に門司支店に配属されました。平成3年から12年にかけて、八幡、戸畑両支店でも勤務しました。法人営業が中心でした。

門司にいたころは、海運や商社の支店が次々と撤退した時期でした。八幡や戸畑では、製鉄業の縮小、いわゆる「鉄冷え」の名残で、企業の倒産など厳しい局面を目の当たりにしました。

暗い思い出ばかりではありません。例えば、大企業を飛び出して起業した経営者のサポートにも関わりました。「お前はどっちから給料をもらっているんだ」と怒られながらも、支店長に食らいつき、融資をしたのは良い思い出です。

こうした企業が、今も北九州で元気に営業していて、お付き合いもある。銀行員の醍醐味(だいごみ)です。

地方銀行が置かれた環境は厳しいですが、この基本は変わらないと思っています。

山口FGは現在、融資先の数字ばかりを見るのでなく、「事業性評価」に力を入れようと、行員に訴えています。真新しいことではなく、私たちが過去から取り組んできたものを、切り出したに過ぎません。逆に言うと、これまで不十分だったのです。

最も大事なのは、相手の会社を知ることです。経営者に会うのは当然ですし、工場や倉庫にも、もっと足を運ぶべきだ。それが、担当した責任です。

相手企業に入り込めば、それだけ魅力や強みに気付く。銀行側から意見も言える。そして、必要性を感じれば融資などでサポートする。

「どちらの立場でものを言うのか」と怒られても良いじゃないですか。地銀の競争が激化する中、光る存在にならなければ、私たちはポジションを獲得できない。

北九州エリアは、自動車やロボット、半導体などのものづくりに加え、最近は環境産業も集積しています。

さらに子育てや医療、教育、高齢者福祉など、生活しやすいまちづくりが進んでいる。これは、高齢化や人口減少などの問題があるからこそです。

このエリアには、地方創生のフロントランナーになる力が十分にある。そう思っています。だからこそ、銀行にとって事業基盤にもなる。

銀行は従来、経済インフラに位置づけられていました。これからは、生活の基盤である「社会インフラ」に転換しなければなりません。地域、企業、個人など、あらゆる場面で、価値の向上につなげられる金融機関でありたいと思っています。

【プロフィル】嘉藤晃玉

かとう・みつる 昭和36年4月、山口県山陽小野田市生まれ。59年3月、九州大法学部を卒業し、山口銀行に入行。門司支店長、北九州銀行経営管理部長、同行専務などを経て、24日付で頭取に就任した。

産経新聞

 

 

一言コメント
地元での実務経験も豊富なようだ。

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