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脱「官製春闘」や世界景気減速、賃上げへの影響が焦点-2019年春闘

(ブルームバーグ): 2019年春闘は13日に主要企業の集中回答日を迎える。労働組合側が14年からの本格的な賃上げの継続を目指している中、経団連による脱「官製春闘」の動きや世界的な景気減速が交渉にどう影響するかが焦点となる。

連合の4日時点の集計では、賃上げ要求は平均3.16%と前年比0.04ポイントの微増。春闘のリード役となる自動車・電機大手の主要労組は月額3000円のベースアップを要求した。トヨタ自動車は昨年からベア公表を取りやめており、要求は総額1万2000円。電機大手の経営側と電機連合の幹部は9日の交渉でベアを月額1000円とすることで事実上一致した、と共同通信が報じた。昨年を500円下回る水準となる。

昨年までの5年は政府が経団連を通じて企業に賃上げを促す官製春闘が続いた。菅義偉官房長官は昨年10月、5月に就任した中西宏明経団連会長に19年春闘での賃上げを要請。しかし、中西氏は直後の会見で「官製春闘という言葉はナンセンス」と発言。12月の会見でも「そもそも賃上げは政府に要請されて取り組むものではない」と述べ、榊原定征前会長時代とは一線を画す姿勢を示した。

これに対し、安倍晋三首相は年末の経団連の会合で自ら賃上げを要請した上で、「平成元年(1989年)の賃上げ率は今年の水準の2倍くらいあった」と強調。中西会長ら主要企業トップが居並ぶ中、「具体的に申し上げることは控えた方が良いかもしれない」としながらも、89年は「ちなみに5%」とわざわざ例示した。

日本商工会議所の三村明夫会頭は、「日本銀行や政府は賃上げによって消費や経済を拡大させると言っているが、ベアを上げることは将来に不安を持つ経営者は非常にためらう」と指摘。「ベアでやる分とボーナスでやる分、どういうバランスでやるかは経営者一人一人の悩みどころ」と語る。

連合の最終集計によると、昨年の春闘はベースアップが0.54%(2017年は0.48%)、定期昇給を含めた月給の平均賃上げ率は2.07%(同1.98%)。厚生労働省によると、民間主要企業による春季賃上げ率は過去5年連続で2%を超える水準で推移している。

経済協力開発機構(OECD)は6日、貿易摩擦や政治的不確実性を背景に、世界の成長率見通しを3.5%から3.3%へと下方修正した。内閣府は7日、1月の景気動向指数(一致指数)の基調判断を、景気後退局面に入った可能性が高いことを示す「下方への局面変化」に引き下げた。財務省が1日発表した18年10-12月期の法人企業統計では、企業の経常利益が10期ぶりの減少に転じた。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、14年に本格的な賃上げが始まってから6年目となり、今年の春闘は経団連が官製春闘をけん制したことで「賃上げ圧力が和らいでいる」と指摘。世界経済の鈍化を背景に企業業績にも下方圧力が強まっており、「賃上げが加速するというよりは鈍化のリスクを警戒している」とし、日銀の2%物価安定目標の達成がさらに遠のくとの見方を示した。

(c)2019 Bloomberg L.P.

 

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一言コメント
中小企業や非正規にとっては無縁の話?

 

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