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暴言で市長辞職までの3日間「何があった」証言から検証 兵庫・明石

 暴言問題で2日に辞職した前兵庫県明石市長泉房穂氏(55)。問題発覚後の1月29日の会見では謝罪しつつも辞職を否定したが、2月1日の会見では一転、憔悴(しょうすい)した表情で辞意を表明した。会見前日には辞職を決断したという泉氏。3日間に何があったのか。関係者の証言から検証した。(藤井伸哉)

【1月29日・発覚後の会見 謝罪しつつ「辞職しない」】

泉氏は道路拡幅工事を巡る用地買収の遅れに激高、市職員に「火を付けて捕まってこい」などと暴言を浴びせた。発覚後の最初の会見では「許されない発言だった」と反省する一方、「統一地方選が迫っている。辞職はせず、今回のことも含め市民に判断を仰ぎたい」と続投の意思を示した。

29日午前11時半。会見を終えた泉氏は市長室にこもった。いつもはひっきりなしに指示を出すが「声をかけるのもはばかられた」(市幹部)という。

会見の様子がテレビなどで伝えられると、市長室などに市民からの電話が鳴りやまず、メールも続々と届いた。29日は385件、30日は832件に上った。

【30日・市幹部の耳に「辞めるのも選択肢か…」】

30日の政策協議で泉氏がこうつぶやくのを市幹部が聞いた。「責任の取り方はどうしたらええんやろ。辞めるのも選択肢か…」

心配した後援会幹部が市役所に赴き「暴言はよくないが、明石を思い、ここまで好循環をつくってきたのはあなただ」と励ましたが、表情は硬いままだった。

30日、31日は少なくとも数時間、市長室で過ごした。苦情についてまとめた報告書に目を通すと、無言で涙を浮かべていたという。

【31日・電話受けた市議に「限界。家族に迷惑、辞める」】

31日午後、車で移動中のある市議に泉氏から電話がかかってきた。「ちょっと限界です。家族に迷惑をかけたくない。辞めます」。消え入るような声だった。市議は「ええけども支援者にはちゃんと相談せえよ」とだけ伝えた。

同日夕、市幹部が市長室に集められ、泉氏が告げた。「明日朝の市議会の代表者会で辞意を伝えます」。幹部らは慰留したが、決意は変わらなかった。市幹部は広報課に「明日広い会議室を押さえておくように」と指示した。

■   ■

ある市議は、昨年6月に市幹部をパワハラで停職6カ月の懲戒処分にしたことに触れ「プライドが高く、自分に甘いと言われたくなかったのでは」とみる。一方で「音声データの全体像が分かり、好意的な意見も出てきたことから、潔さをアピールすることが次の選挙につながるという計算もあったのでは」と話す関係者もいる。

ではタイミングはどうだったのか。公職選挙法は、辞職した前市長が出直し選で当選した場合、辞職時期にかかわらず残任期間のみの任期と定める。統一地方選で予定されていた市長選は泉氏の任期満了より前で、必ず残任期間は残る。

別の市議はこの規定を踏まえて指摘する。「つまり、いくら辞職を先送りしても(当選した場合)2度の選挙は避けられない状況だった。ならば早い方が有利だと判断したのではないか」

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ほとぼり冷めたらまた出るの?

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