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ユニクロ、絶好調の秋商戦に潜む一抹の不安

今年の秋は例年より寒さが厳しかったこともあり、ヒートテックを中心に防寒商品の売れ行きが好調に推移。9月以降、国内ユニクロの既存店売り上げは前年超えが続いている(撮影:梅谷秀司)

好調だった秋商戦の裏側で、大きな課題が露呈した――。

12月4日、ファーストリテイリングは衣料品店「ユニクロ」の11月の国内既存店売上高が前年同月比8.9%増だったと発表した。ここ数年と比べ寒さが厳しかった今年の秋は、ヒートテックやシームレスダウン、フリースなどの売れ行きが好調に推移した。

感謝祭初日からトラブル発生

感謝祭初日からシステム障害が発生した(11月23日午後6時過ぎのユニクロの販売サイトページより)

11月はユニクロ恒例の大セール「感謝祭」が開催される書き入れ時。今年は昨年よりも2日短く、11月23~27日の5日間、店舗とネット通販の両方で感謝祭を実施した。

満を持して臨んだはずの感謝祭だったが、初日から思わぬ事態が発生した。11月23日の午前9時頃からネット通販のサーバーがダウンし、パソコンやアプリでの注文が出来ない状態に陥ったのだ。ユニクロは同日午後6時半ごろからネット販売を休止したうえでシステムメンテナンスを実施。復旧にこぎ着けたのは翌24日の午前11時過ぎだった。

ユニクロはサイトやツイッター上で、「多大なご迷惑をおかけし深くお詫び申し上げます」と謝罪文を掲載。11月23~24日の2日間の限定価格で販売する予定だった商品を、ネット販売に限って25日にまで延長するなどの対応を取った。売り上げへの影響については、「(感謝祭期間中に)ほぼ1日ネット販売が止まっていたことになるので、まったくなかったわけではない。ただ寒い時期と重なったため、感謝祭自体の売り上げは好調だった」(会社側)という。

実はユニクロのネット通販では昨年の感謝祭でも、同様のシステム障害が発生した。昨年は3時間で復旧したが、今年はほぼ1日の時間を要した。度重なるアクシデントの原因について、会社側は「アクセス集中が起因であることは明らか。事前の準備は当然していたが、想定を超える数のお客様からのアクセスがあった」と説明する。

結果的に感謝祭は好調だったとはいえ、今回の事態はファーストリテイリングが成長戦略の柱の一つに掲げるネット通販拡大の面で大きな課題を残した。柳井正会長兼社長は、国内ユニクロの売上高に占めるネット通販の売り上げ構成比率を中長期的に30%へ引き上げる方針を表明している。

ただ、8月末時点における国内ユニクロのネット通販比率は6%。同じアパレル企業のユナイテッドアローズの18%(9月末時点)や、アダストリアの15.7%(8月末時点)と比べても低い水準だ。国内のアパレル市場は、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を筆頭に、ネット通販の取扱高の伸びが著しい。

脆弱なネット対策の改善が課題

ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は中期目標としてネット販売比率を30%に引き上げる方針を表明している(撮影:梅谷秀司)

こうした状況下で、ユニクロはコンビニでの購入商品受け取りサービスの導入や、オンライン限定商品の拡充など、ネット通販の強化に向けた手を打ってきた。

前2017年8月期は当初、ネット販売の売上高を年間で40%引き上げる計画を打ち出した。しかし、昨年から稼働した有明の大型物流倉庫がうまく機能せず、翌日配送が出来ないなどといった混乱が発生。その結果、ネット通販の売上高(487億円)の伸び率は15.6%にとどまった。

現在は有明倉庫の物流機能も改善しつつあるが、ネット販売の拡大を掲げる以上、物流面とシステム面双方での強固なインフラの整備が急務となる。アパレル業界に詳しいアナリストは「アリババは11月11日の大セール日(独身の日)に1日で約3兆円の売り上げを出してもサーバーダウンしなかった。ユニクロは『情報製造小売業』という目標を掲げる割に、ネット対策が脆弱すぎる」と指摘する。

今2018年8月期も海外ユニクロの成長を軸に、過去最高益を見込むファーストリテイリング。柳井会長は「日本企業なので日本で稼がないことには始まらない」と強調する。ネット通販におけるトラブルを回避し、成長を継続させることができるか。足元の好調な業績にうつつを抜かしている暇はなさそうだ。

東洋経済オンライン

 

 

 

 

一言コメント
年々、感謝祭に魅力がなくなっているような・・・

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