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<バイナリーオプション>新たな詐欺被害続出

バイナリーオプションデリバティブ(金融派生商品)の一種「バイナリーオプション(BO)」のノウハウ入りと称するUSBメモリーを売りつけ、若者から現金をだまし取る新手の詐欺が全国で相次いでいる。会員制交流サイト(SNS)で誘い出して対面で売る手口で、宮城県内でも複数の被害が確認されている。国は「新たな手口」と警戒を強めるが、有効な対策を打ち出せないでいる。

「BOに興味はないか。福岡から行くので話したい」。2016年5月、仙台市内の男性会社員(23)のスマートフォンに「なな」と名乗る女から突然ツイッターにメッセージが届いた。翌月、市内のホテルに呼び出され、女から「BOのノウハウが入っていて40万円する。必ず稼げる」とUSBを見せられた。

男性は、勧められるまま消費者金融で40万円を借りて現金を渡すと、女はパソコンでオーストラリアのBO業者にアクセスし、男性の投資用口座を開設した。

領収書を求めたが、女は「個人業で領収書も名刺もない」と説明。結局、ノウハウに関するデータはUSBに入っておらず、女と連絡が途絶えた。

金融庁は07年の金融商品取引法施行時、BO業者の登録を義務付けた。BOは投機性が高いため、13年に法令を改正し、規制を強化した。国民生活センターによると、改正後の14年度の相談件数は前年度比90倍の1350件に急増し、15~16年度は450件前後で推移した。

国は被害防止を目指すが、対応に苦慮している。売り手とBO業者の関係が判然とせず、売り手が雲隠れしたり、BO業者が海外に拠点を置いたりしているためだ。金融庁の担当者は「日本に拠点があれば検査結果次第で営業停止とすることも可能だが、見つけ出すのは困難」と話す。

被害を訴える男性の父親(51)は「弁護士に相談したが、売り手にたどり着くのは難しいと言われた。40万円は諦めるが、これ以上、被害が拡大しないでほしい」と語った。

[バイナリーオプション(BO)]特定時期の外国為替相場が現在の水準より高いか低いかを予想するデリバティブの一種。当たれば一定額を受け取れるが、外れると全額失う。特定時期が数分後という極めて短い商品もあり、投機性が高い。

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